Download!Download Point responsive WP Theme for FREE!

レイカーズ 過去の栄光のその先

Mike Stobe/Getty Images North America
Mike Stobe/Getty Images North America

「いつになったら分かるんだ?お前らはもはや時代遅れなんだ」

先日公開された007の新作「スペクター」の中でMI6のスパイ活動についてMが言われる台詞だ。テクノロジーを駆使した監視システムやドローンを使えばジェームズ・ボンドは必要ない、スパイの時代は過ぎ去った、と。

映画の中で007は古い、時代遅れだ、と言われるたびに私はレイカーズのことを思った。ここ数年のレイカーズは呪われているのではないかと思うほど不運が続いた。たび重なるヘッドコーチの解任、コービーの怪我、そして名オーナー、ジェリー・バスの死去。息子のジム・バスが球団の指揮を取り、チームの成績が落ち、プレイオフへ出られず、オフシーズンには大型FAたちにスルーされた。この夏一番注目されたFAのラマーカス・オルドリッジがレイカーズとミーティングをした結果レイカーズのプレゼンはアナリティクスに欠け、昔の栄光にフォーカスしたものだったと報道された。NBAで2番目にチャンピオンシップが多く、数々のレジェンドが活躍しショータイムを生み出したレイカーズは時代遅れだと宣言されたのだ。気づいていたこととは言え、それをみんなが見ている前で指摘されるのは痛かった。そしてファンやメディアがとっくに気づいていただけに、レイカーズのフロントオフィスが「ハリウッド」「ショータイム」「レガシー」をプレゼンしたと聞いて絶望的な気持ちになった。いくら周りが気づいていてもフロントが考えを改めない限り改善の見込みはない。

昨季の21-61というレイカーズ史上最低の記録のおかげで手に入れたドラフト2位の指名権にファンは希望の光を見た。指名されたディアンジェロ・ラッセルに加えて昨季初戦で怪我をしたドラフト7位のジュリアス・ランドル、46位で予想以上の活躍をしたジョーダン・クラークソン。さらに今季のルーキーであり運動能力抜群のラリー・ナンス Jr. に近年重要視される3&Dプレイヤーだと言われているアンソニー・ブラウン。今季はこの若者たちをじっくり育て、数年後にはFAもレイカーズへ来たいと思えるようなチームを目指すのが順当だと思われる。プレシーズンでは3-5と負け越したが若手が各自活躍する場面も見られ、普段はレイカーズを応援しないNBAファンにも「今季のレイカーズは強くないだろうけど面白そう」という評価をそこかしこで目にした。ところが今季が始まってみると5試合目でようやくなんとか同じく全敗中のネッツに勝つことができた。

これまでの試合でHCバイロン・スコットはディアンジェロを試合の終盤でベンチに戻している。スターターとして出てこそはいるが、期待のルーキーに最後まで任せようという信頼はそこにまだない。自らを「Old School」だと認めるバイロンは「出場時間は(それだけの成果を出して)獲得するものだ」との考えだ。さらに「(若手を)育てることを常に考えてるわけじゃない。勝つことを考えている」「若手の育成は二の次。育成は練習でするもの」と多くのファンの願いとは真逆の発言をした。これを聞いた時は正直ここまで現実離れしているのかと愕然とした。

ESPNのパーソナリティーで今年の7月からはSports Centerのアンカーとして活躍するキャリー・チャンピオンは自他共に認める熱狂的なレイカーズファンだ。11月5日に上がった彼女のポッドキャストでは同じくESPNのライターであるブライアン・ウィンドホーストを呼んでレイカーズについて話していた。「レイカーズのフランチャイズは一世代前を生きている」。ウィンドホーストは言い切った。「ラマーカスがレイカーズのプレゼンが現代のNBAに沿っていないと指摘したのは親切だったと思う。コービーが引退したら球団の内部も一気に建て直すべきだ。トレーニングスタッフ、コーチ陣、アナリティクスチーム、全てをやり直すいい機会だ」。今季で引退するかもしれないコービーと、注目される若手が一緒にプレーする今季がスムーズにいくとは最初から思っていなかった。だが、コービーの最終年かもしれないからこそ勝ちにこだわるよりも選手としてのメンタリティーを若手に伝えつつ、チームで彼らを育てていって欲しいと思う。

先週の日曜日、NBAでの第1週目がなかなか思う通りにいかずフラストレーションを見せたディアンジェロをコービーは早めにシュートアラウンドに来るように誘った。そこでコービーはディアンジェロと1時間ほど一緒にフィルムを見ながら具体的なプレーやチームをまとめるためのアドバイスをした。「あのフィルムセッション以来、だいぶ気分が楽になった」と言うディアンジェロは、自らもどんどんチームメイトに話しかけている。1年先輩のクラークソンも「テキストメッセージや電話はよく来るし、コービーともよくテキストしてるみたい。僕にも常に話しかけてくれて、何が好きで何が嫌いかを聞かれるよ。意欲的に学んでいってていいと思う」と感心している。レイカーズの古い体制と若いエネルギーがどう折り合いをつけて今シーズン進んでいくのか、ファンとしては不安を抱えつつも見守ることしかできない。開幕連敗が続いてパニックに陥るファンに向けてコービーはこう言った「思う存分パニクれ。精神にいいぞ」。

参考記事:

“Lakers coach Byron Scott has message for D’Angelo Russell’s critics: Cut him some slack” by Bill Oram, OC Register

 

No Comments

Add a Comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *