アトランタ・ホークス、UNOに夢中
アトランタ・ホークスの一部の選手たちの間では、今「UNO」が熱い。
（本文はNY Times に掲載された記事を元に書かれています）
NBA選手は移動が多い。数日おきに飛行機移動することも稀ではない。移動中の飛行機の中で映画やテレビ番組を見たり、試合のテープを見たり、または睡眠を取ったりする選手も少なくないだろう。その中で、昔から人気があるのはカードゲームだ。カードゲームと言っても大概はトランプで、中でもスペードやブーレといったゲームでギャンブルすることが多い（ギルバート・アリーナスがロッカールームに拳銃を持ち込んで出場停止処分を受けたのもブーレがきっかけのいざこざから）。ところがアトランタ・ホークスの一部の選手たちの間ではお茶の間でも人気のあのカードゲーム、「UNO」が大流行しているらしい。遊んだことがある人も多いだろう。私自身も兄妹で遊んではケンカになったのを思い出す。今季からホークスに入ったラマー・パターソンもそう思って仲間に加えてもらえるか聞いたところ「いやいや、普通のUNOと思ってもらっちゃ困る。俺たちは他のデックからもドロー２とドロー４のカードを加えてやるんだ。命がけなんだ」と言われたそうだ。
「UNOはいつだってスリル満点だ」そう答えるのはケント・ベイズモア、ホークスのUNOクルーの中心人物だ。ことの始まりは昨季、ジェフ・ティーグがUNOを持参してチームメイトを誘ったことがきっかけだった。ベイズモアに続いてアル・ホーフォード、カイル・コーヴァー、デニス・シュルーダーが加わり、以来レギュラー化した。最初は通常通り、本来のUNOを楽しんでいたものの、それに物足りなさを覚えたベイズモアとシュルーダーがさらに２つのデックからドロー２、ワイルド・ドロー４、リバース、スキップを追加してプレーする方法を提案した。新たに追加されたカードは「heat」と呼ばれる。「みんなこうやって遊べばいいのに。UNO界におけるWWEだよ」とベイズモア。ゲームに参加していないジャスティン・ホリデーによれば「みんなかなり真剣」とのこと。一方でシェルヴィン・マック、ポール・ミルサップ、ターボ・セフォローシャ、マイク・スコットの４人は普通にトランプでスペードをやっている。1プレーごとに一喜一憂するUNOクルーの興奮に比べたらかなり地味と言えるだろう。
離陸から着陸までほぼずっとプレーし、一度たりとも休むことは許されないというホークスのUNO。今シーズン始めの方は参加していたティム・ハーダウェイ Jr.は、ある日「疲れたから今日は休みたい」と申し出たところ、その後再びグループに招待されることはなかった。ずっと参加し続けることでケミストリーや仲間意識が生まれる、と参加者は言う。ライバル関係もある。「ケントとデニスはよく言い合ってるよ」とホーフォード。マイク・ムスカーラはそんな彼らを側で見ていて、得に参加したいとは思わない。ハーダウェイの件もあって、そこまでコミットする気にはなれないからだ。「参加してるやつらはみんな仲が良いから入っていけそうにもないし、入会の儀式とかありそうだしね」とムスカーラ。そんな彼は機内では寝たり読書をしたり、あとは「大体何か食べてる」そうだ。
シュルーダーによると今季始まって20ゲームほどは機内のど真ん中でテーブルを置いてプレーしていたらしい。「最高だったよ」とシュルーダーは悔しそうに言う。「でも（バスケの試合で）負けだして、コーチたちに退くように言われたんだ。」それ以来機内の前方に集まり、シュルーダーの大きなスーツケースにブランケットをかけたものをテーブル代わりにしている。アシスタント・コーチのダーヴィン・ハムによると試合の成績は関係なく、機内の安全のために通路を空けておく必要があったからだそうだ。「テーブルは恋しいけど、試合で勝たないとね」とシュルーダーは自分に言い聞かせる。
そんなシュルーダーはUNOのカード保管担当だ。「あいつはカードを大切にしてるよ」とベイズモアも満足そうだ。彼ら独自のUNOのルール説明は複雑で、簡単には言い表せない。状況によってはドロー４を引いた選手にカードを８枚引かせることもできるそう。「戦術が必要で、ただやみくもにプレーするわけにはいかないんだ」と言うベイズモアは最近ほかの選手たちの画策によりドロー４を連続で引き、カードをなんと50枚も引く羽目になった。「あれはヤバかったね。あんなの見たことないよ」とホーフォード。ホーフォード自身は昨季のダントツ１位だったそうで、あまりにも他を寄せ付けない成績を残したため、今季からは10勝毎に記録がリセットされる仕組みに変わった。ホーフォードは携帯で各選手のスコアを記録し、不正がないようにゲーム毎にスコアを発表している。「以前は論争が起きたこともあったからね」とホーフォード。
前述のパターソンは無事ホークスのUNOに加えてもらうことができ、現在のチャンピオンでもある。実際のチャンピオンベルトに関してはベイズモアがオンラインで発注することになっていて、パターソンはそれが届くのを首を長くして待っている。「待ち遠しいよ。どこにでも持ち歩くつもりだ。」
参考記事：
For Some Atlanta Hawks, a Revved-Up Game of Uno Is Diversion No. 1 by Scott Cacciola
